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外交・公用ビザを持つ在留外国人の方が長期間日本に滞在された後、永住権を取得されることを検討する方もおられます。
外交・公用ビザを保有する場合、永住許可の審査上有利に働く部分が多いため、永住権の取得を検討されることも今後の人生の選択肢の一つと言えるでしょう。
こちらでは外交・公用ビザから永住許可を取得する際のポイントについて解説いたします。
「外交」ビザとは、外国政府の大使や総領事、そのご家族の方等が日本で暮らすために必要となる在留資格です。
在留期間に決まりはなく、外交活動中の期間とされています。
入管法上の在留資格「外交」の定義は下記の通りです。
【入管法上の在留資格「外交」】
「日本国政府が接受する外国政府の外交使節団もしくは領事機関の構成員、条約もしくは国際慣行により外交使節と同様の特権および免除を受ける者またはこれらの者と同一の世帯に属する家族の構成員としての活動」をするために日本に在留する資格。
「公用」ビザとは、外国政府の大使館又は領事館の職員、国際機関から公務で派遣される外国人の方、そのご家族の方等が日本で暮らすために必要となる在留資格です。
在留期間は15日・30日・3ヶ月・1年・3年・5年のいずれかになります。
入管法上の在留資格「公用」の定義は下記の通りです。
【入管法上の在留資格「公用」】
「日本国政府の承認した外交政府もしくは国際機関の公務に従事する者またはその者と同一の世帯に属する家族の構成員としての活動」をするために日本に在留する資格。(「外交」に該当するものを除く。)
外交・公用ビザは、他の一般的な在留資格と比べて特別な在留資格であり、ビザの性質上、職務を終えた後は本国へ帰国することが前提とされています。
しかしながら、入管法や永住許可申請のガイドライン上において申請対象の在留資格とされており、外交や公用ビザをお持ちの方でも永住許可申請をすることが認められています。
なお、永住許可申請の際は入管当局から「職務終了後の本国への帰国の有無」と「申請人が将来に渡って日本で在留することを望んでいること」の2点について確認され、必要に応じて本国政府へ照会も実施されます。
外交・公用ビザをお持ちの方が永住許可申請をする場合、ガイドライン上の許可要件を満たしており、申請人を不許可とするような特段の事情がない場合は、積極的に永住許可を付与する方向で検討されることになっています。
外交・公用ビザから永住許可の申請要件として、申請人が原則引き続き10年以上日本に在留していることが必要です。
またこの期間のうち、外交・公用の在留資格を持って、引き続き5年以上在留していることが必要です。
「外交・公用の在留資格を持って、引き続き5年以上」とは、申請人がする永住申請から遡って直近5年のことを指します。
なお、申請人が「我が国への貢献があると認められる者」と評価される場合、引き続き10年以上日本に在留しなくとも、5年以上、それも断続的に日本に在留していることのみで居住要件を満たすことができます。
「我が国への貢献があると認められる者」とは、日本との友好・文化交流に貢献した方や国際機関で一定の役職に就いていた方などが認められる場合があります。
次に出国に対する考え方ですが、外交・公用ビザで在留している間に出国した回数が多い方は「引き続き10年以上」の居住要件のカウントがリセットされる場合がありますので注意が必要です。
1度の出国で90日以上、又は1年間で半年以上出国した場合は、永住許可申請の審査上マイナスに影響すると考えられています。
なお、「引き続き」とは在留資格が途切れることなく在留を続けていることの意味も含みます。
再入国許可(みなし再入国許可を含む)を受けて、一時的に海外に赴く場合は在留資格が継続していることになりますが、再入国許可を受けずに出国したり、海外滞在中に再入国許可が失効するような事があれば、日本での在留資格は消滅したこととみなされ、引き続き在留していることにはなりません。
永住許可申請をする場合、現在保有している在留資格について、入管法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間であることが要件とされています。
外交ビザには在留期間に決まりがなく、外交活動中の期間とされていますので付与された期間が最長のものとして扱われます。
公用ビザであれば在留期間は15日・30日・3ヶ月・1年・3年・5年のいずれかで付与されますので、原則5年の在留期間の状態で申請が必要ということになります。
しかしながら、現行は3年以上の在留期間でこの要件を満たすことができておりますので、実務上は3年の認識で永住許可申請をおこなっています。
永住許可申請をする場合、申請人のこれまでの日本での生活における資産状況や技能等から見て、将来的に安定した生活を送ることができ、十分に生計を維持できることが要件になります。
外交ビザから永住許可を取得する場合、生計要件で必要とされる収入額の目安は、申請人の年収が300万円以上、扶養者1人につき20万円~30万円の上乗せで計算します。
また家族滞在ビザを持つご家族と同時に永住許可申請する場合は、被扶養者となる家族分も合計して収入要件を満たす必要があります。
(例)申請人、配偶者、子1人の場合
300万+30万+30万=計360万の年収が申請人本人に必要
*外国人配偶者の方と結婚されていて配偶者の方がアルバイトなどをしている場合、その収入は加算されません。
なお、収入の証明のため直近5年分の課税証明書を提出する必要があります。
永住許可申請をする上で、税金等の滞納や生活保護の受給などで社会的に公共の負担になっていないことが必要です。
これは、申請人だけではなく、扶養している配偶者または子の方が生活保護を受けていないことも同様に要求されています。
永住許可を同時申請する場合、申請人および扶養するご家族の方がこれまでの日常生活において法律を遵守し、住民として社会的に非難されることのない生活を営んで来たことが必要です。
素行が善良であるかどうかの判断基準は、通常人を基準として、これまでの日本社会への態様等を総合的に考慮して社会通念上確認されます。具体的には、「罰金刑や懲役刑など違法行為による処分を受けていないこと」「重度の交通違反や過去5年以内に5回以上の軽微な交通違反を繰り返していないこと」「入管法令上の外国人に関する就労状況等の届出義務を適正に履行していたこと」などが審査されます。
過去に懲役刑や罰金刑などを受けている場合は、目安として処分を受けた日から5年~10年程度は永住許可申請までの期間を開ける必要があります。期間は個々の刑の重さや罰金額などによって異なります。
交通違反歴は目安として過去5年以内に5回以上の軽微な交通違反があると、素行条件に引っかかります。
軽微な交通違反の例としては駐車違反や一方通行の違反などに限られます。
刑事罰が科されたり免許停止処分となるような重度の交通違反、いわゆる飲酒運転や50キロ超のスピード違反などは、そもそも申請をしても永住許可が下りない可能性が高いです。
その他勤務先などで入管法令上の外国人に関する就労状況等の届出義務を適正に履行されていたことも必要です。
なお、扶養するご家族も同時に永住許可申請する場合は、申請人だけでなく家族全員が永住許可の素行要件を満たしていなければなりません。
例として、家族滞在ビザを持つ外国人の方によく見受けられるのは、資格外活動許可を得ずにアルバイトをしているケースです。
基本的に家族滞在ビザで就労は認められておりませんので、アルバイトやパートをする際は事前に入国管理局へ資格外活動許可を申請し取得してから行わなければなりませんが、それを取得せずにしてしまって素行要件に引っかかるケースです。
その他資格外活動許可を取得していたとしても週28時間を超えてアルバイトをしていた場合も永住許可は下りません。
万が一扶養するご家族の一人に素行要件に引っかかるような違反歴などがあると、その違反をした本人だけではなく、同時申請をした家族全員分の永住申請が不許可になりますので注意が必要です。
永住許可申請をする上で申請人が公的義務を適正に履行していることが必要です。
公的義務とは、納税・年金・保険の納付、入管法令上の外国人に関する就労状況等の届出義務を指します。
税や年金の未納滞納がある場合、永住許可は下りません。さらに納付済みの場合でも過去、納付期限に遅れがある場合は永住許可を得ることは難しいです。この点入国管理局側は厳しく審査しています。
扶養するご家族の方の納税状況等も審査対象になりますので注意が必要です。
特定活動ビザで在留されている台北駐日経済文化代表処の事務員の方や駐日パレスチナ総代表部の事務員の方、そのご家族の方については、一見外交・公用ビザと同様に扱われるようにも思えますが、職務終了後は帰国することが必須とされていますので、原則永住許可申請は認められません。
ビザ申請にあたっては、事前に入国管理局側の審査のポイントを押さえておくことが大切です。
まずは専門性の高い行政書士に相談されることをお勧めします。
当オフィスも初回無料相談にてお客さま一人一人のご状況やご不安を丁寧に伺って、最善の方法でビザ取得できるようサポートしております。
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