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特定技能「宿泊」ビザは、日本の人材不足が深刻化している宿泊業の分野で個々の専門性や技能を活かして即戦力で業務に従事することのできる外国人人材を受け入れ、宿泊業界の存続や社会経済の基盤を維持し持続可能にしていくことを目的に創設された在留資格です。
日本の宿泊業の分野においては政府が掲げる「明日の日本を支える観光ビジョン」により2030年までの訪日外国人旅行者数を6,000万人にする目標を出しており、特にコロナ終息後は訪日外国人旅行者の大幅な増加が予測されるため宿泊需要に対する人材の確保が重要な焦点となっています。
宿泊業界は既に3万人程の人材不足に陥っているとの推計が出されており、2023年度には全国で約10万人の人手不足が生じると予測されています。
深刻な人手不足が懸念される中、宿泊分野において一定程度の専門性と技能を有し、接客・フロント業務、企画・広報、レストランサービス等の即戦力となる外国人人材を受け入れ、人手不足を解消し、利用者が宿泊サービスを安心・安全に利用できるよう体制を確保することが必要不可欠と言えます。
なお出入国在留管理庁が公表する特定技能「宿泊」分野の2023年度までの外国人受入れ見込数は、最大22,000人です。
ここからは宿泊業界の企業・団体が特定技能「宿泊」で外国人を雇用する要件等について解説いたします。
特定技能「宿泊」の在留資格を取得した外国人が従事できる業務は以下の通りです。
・宿泊サービスの提供に係る業務(フロント業務、企画・広報、接客業務、レストランサービスなど)
・上記業務に関連する付随的業務(旅館・ホテル施設内の土産物売店における販売業務、旅館・ホテル施設内の備品の点検・交換作業など)
専ら関連する付随的業務に従事することは認められません。
あくまで「宿泊サービスの提供に係る業務」をメインの業務とした上で、付随する関連業務にのみ従事することが認められています。
雇用形態においては直接雇用のフルタイムに限られます。
人材派遣会社等を通じて受け入れる派遣型の雇用やパートタイムは認められません。
外国人の方が特定技能「宿泊」分野で業務に従事するためには地方入国管理局に在留資格交付認定申請をしてビザを取得しなければなりません。
ビザとは外国人の方が日本に滞在して就労活動をおこなうことができる在留資格のことを言います。
特定技能の「宿泊」ビザを取得するためには外国人本人が技能水準に係る試験として「宿泊業技能測定試験」に合格している必要があります。
宿泊業技能測定試験とは、旅館・ホテルのフロント業務、企画・広報、接客業務、レストランサービスなどに関する定型的な業務内容であれば、自らの判断と方法で実践的に業務を遂行できる能力を有することを認定する試験となります。
合格した者は宿泊業分野において一定程度の専門性や技能、必要となる知識、経験を有している者と評価されます。
また、日本語能力水準に係る試験として「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験(N4以上の等級)」のいずれかに合格している必要があります。
外国人の方が基本的な日本語を理解することができ、日常生活を送る上ではほぼ支障がない程度の日本語能力を有していることをいずれかの試験により確認します。
日本語能力試験の目安については以下をご参照ください。
受入企業および宿泊施設が宿泊サービス業で特定技能外国人を雇用する場合、以下の関係法令を遵守する必要があります。
1.旅館業法2条2項に基づく旅館・ホテル業の形態で旅館業を営業していること
2.旅館業法3条1項に基づく知事の営業許可を受けていること
3.風営法2条6項4号に規定されている施設(ラブホテル等)に特定技能外国人を就労させないこと
4.風営法2条3項に規定する接待を特定技能外国人にさせないこと
上記法令を守らずに特定技能外国人を従事させた場合、外国人だけでなく受入企業も不法就労助長罪などで処罰される可能性がありますのでご注意下さい。
受入企業は「宿泊分野における特定技能協議会」に加入する必要があります。
特定技能協議会は国土交通省、特定技能所属機関(受入企業)、宿泊業界の各関係団体、外国人登録支援機関などで構成されており、宿泊業分野における構成員が相互に連携を図るとともに、特定技能外国人に関する制度の周知や情報共有、適正な外国人人材の受入れと保護、法令遵守のための啓発活動などが行われています。
特定技能外国人が日本へ入国してから4ヶ月以内に協議会に加入しなければなりません。
加入せずに外国人を受け入れた場合、不法就労助長罪で処罰される可能性がありますので注意してください。
また協議会から是正勧告などで対応を求められた場合、必要に応じて協力しなければなりません。
必要な協力を行わない場合も不法就労助長罪となる場合がありますのでご注意ください。
国土交通省が受入企業に対して実施する調査や行政指導、是正勧告などの場合も同様です。
また「外国人支援計画」の全部の実施を登録支援機関に委託する場合、協議会に必要な協力・連携を取っている登録支援機関を委託先に選ぶ必要があります。
→参考ページ:特定技能の外国人支援計画とは
ビザ申請にあたっては、事前に入国管理局側の審査のポイントを押さえておくことが大切です。
まずは専門性の高い行政書士に相談されることをお勧めします。
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